理事長挨拶

 

戦前の同盟通信社は戦後まもなく解散し、共同・時事両通信社に分割して再スタートしました。新聞通信調査会は1947年に設立された通信社史刊行会が前身となります。60年に名称を変更し、「新聞通信事業の発展に寄与する」ことを目的に活動してきました。2009年に公益財団法人に認定され、今日に至っています。

私たちは公益財団法人として、新聞通信事業に関する①調査研究・資料収集②講演会・研究会の開催③研究発表・普及啓発-を行うとともに専門図書館「通信社ライブラリー」を開設しています。各種メディアで仕事をしている人、大学等でジャーナリズムを学んでいる人、メディアに関心を持つ一般の人に利用していただくことを願っています。

世界価値観調査(WVS=World Values Survey 2010-2014)によると、日本はメディア(新聞・雑誌・テレビ)への信頼度が欧米に比べて非常に高いという結果が出ています。一部には、メディアの情報を鵜呑みにしやすい国民性の表れ、と否定的に解釈する向きもいるようですが、新聞や放送が培ってきた仕事への評価と見るほうが素直ではないでしょうか。

ただ、高度デジタル社会で若い世代の既存メディアへの信頼度が低下しているのは事実であり、これからも信頼度が高止まりする保証はありません。会員制交流サイト(SNS)を使った情報収集は「信頼性」より「即時性・生の声・面白さ」を重要視しているという調査結果もあります。

一般社団法人日本新聞協会は新聞倫理綱領(2000年)で「新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評」とうたっています。デジタル化に伴って新聞離れが進んだとしても、新聞が果たしていた役割は誰かが担っていかなければなりません。そのためにはどうすればいいのか。私たちはその答えを見つけるお手伝いをしていきたいと思っています。

 

公益財団法人 新聞通信調査会
理事長 西沢 豊