2024.01.01

メディア展望

『メディア展望』1月号発行のお知らせ

編集長の一言二言(2月号)

■新年明けましておめでとうございます。昨年は、一進一退の攻防が続くウクライナ戦争に加え、イスラム組織ハマスとイスラエルの激しい戦闘が発生し、国際情勢は混迷の度を深めています。今年は1 月の台湾総統選を皮切りに、3月のロシア大統領選、4月の韓国総選挙、11月には米国大統領選が控えています。支持率低迷にあえぐ岸田文雄首相も今年秋の自民党総裁選に向けて、正念場を迎えています。選挙結果次第では、国際社会の分断が一層進むことも予想されるだけに、今年は各国の選挙から目が離せないまさに「政治の年」になりそうです。

■今月号のトップページには、新型コロナウイルスに関するメディア報道を検証したシンポジウムの概要を掲載しました。未曾有の感染拡大に、政府の対応もメディアの報道も手探りの状況が続きました。マスク不足、ワクチン接種と副反応の問題、医療崩壊の危機や経済への打撃など、新型コロナは数えきれない課題をわれわれに突き付けました。新たなパンデミックに備えるためにも、シンポジウムの議論を通じて浮き彫りになった教訓や反省点を次に生かしたいものです。

■習近平国家主席による一強体制が3期目に入りました。自らを毛沢東と並ぶ存在と位置付け、政敵をことごとく葬り去り、盤石に見える習近平体制ですが、足元に目を転じれば、「ゼロコロナ対策」の影響で経済は低迷し、「戦狼外交」と呼ばれる対外強硬路線で国際的な孤立も目立っています。共同通信外信部の大熊雄一郎記者の講演録では、習近平国家主席の誕生から現在まで振り子のように揺れ動く中国の外交、内政の現状を分かりやすく解説しています。

■毎年行っているメディアに関する世論調査結果がまとまったのを受けて、政治学者の菅原琢氏に詳細な分析をお願いしました。今回は日本の社会にとって重要な少子化・人口減少問題と安全保障問題を大きなテーマに取り上げました。人口減少には8割の人が危機感を持っていましたが、国に対して求める政策では、男女間や各年代で微妙な立場の違いも目立つ結果となりました。ぜひとも詳細な分析を一読してほしいと思います。 (一ノ瀬英喜)