2024.08.01
メディア展望
『メディア展望』8月号発行のお知らせ
編集長の一言二言(8月号)
■今月号のトップページは、「生成AIとジャーナリズムの行方」と題したシンポジウムの第2 部で行ったパネルディスカッションの概要を掲載しました。生成AIの登場は大きな社会変革をもたらし、文章や写真、動画、音楽などの制作に画期的な役割を果たす一方、著作権侵害など新たな弊害も浮き彫りになっています。ご多分に漏れずメディア界でも業務の効率化に活用する動きがある一方、ウクライナ戦争や米大統領選の例を見るまでもなく、さまざまなフェイクニュースが氾濫し、生成AIの活用を巡っては難しい課題も突き付けられています。パネルディスカッションでは、さまざまな分野の専門家が日本のメディアの対応や生成AIを巡る法律的な問題点、さらに先進国・米国の実情などを報告。それを土台に、生成AIの功罪を検証しながら、今後どう対応していくかについて、活発な議論が交わされました。ぜひご一読ください。
■11月の米大統領選は、バイデン大統領とトランプ前大統領による「老老対決」の構図が固まったかに見えましたが、公開討論会で醜態をさらしたバイデン氏が急きょ、選挙戦からの撤退を表明。一方、トランプ前大統領の暗殺未遂事件では、血を流しながらも拳を突き上げる衝撃的な写真が、同氏への熱狂的な支持を喚起し、共和党の結束を促すなど、異例ずくめの展開となっています。今月号には、時事通信外信部の北井邦亮編集委員の米大統領選に関する講演録を掲載しました。講演後に予期せぬ事態が起きたため、襲撃事件やバイデン氏の撤退を受けて、一部加筆していただきました。
■津山恵子氏の海外情報(米国)は、米大統領選の候補者を正式に選出するミルウォーキーで開催された共和党全国大会の現地ルポが軸となっています。 1 枚の銃撃写真がトランプ氏を〝神格化〟し、支持者を奮い立たせる無料のPRに使われたという懸念からフォトとプロパガンダと組み合わせた「フォトガンダ」に陥ることに警鐘を鳴らしています。また、米国内では、気に入らない政治家の行動や主張を弾圧するために行われる「政治的暴力」を容認する動きが広がっているとも指摘しています。
■日本の新聞業界は、発行部数や広告収入の減少に加え、電子版の契約数も伸び悩むなど、厳しい経営環境に置かれています。こうした経営課題に新境地を開こうとしているのが英国フィナンシャル・タイムズ(FT)の編集改革です。その一翼を担うFTストラテジーズの長崎勇太シニアコンサルタントに、その取り組みについてインタビューした記事を掲載しています。(一ノ瀬英喜)