2025.01.01

メディア展望

『メディア展望』1月号発行のお知らせ

編集長の一言二言(1月号)

■新年明けましておめでとうございます。昨年は、1 月の台湾総統選を皮切りに、3 月のロシア大統領選、4 月の韓国総選挙、そして全世界が注目した11月の米国の大統領選ではトランプ前大統領が勝利しました。国内に目を転じれば、昨年10月の衆院選で連立を組む自民、公明両党が過半数を大きく割り込む大敗を喫するなど、昨年はまさしく「選挙の年」となりました。新しい年を迎えましたが、ウクライナ戦争を巡って国際社会の分断が進み、イスラエルとイスラム組織「ハマス」などとの戦争、シリアのアサド政権の崩壊で中東情勢も先が見通せない状況です。加えて、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏の再登場で、政治、経済のみならずエネルギーや環境問題を巡っても国際社会が混乱するのは必至の情勢で、波乱含みの1 年となりそうです。

■今月号のトップページには米大統領選を受けて開催したシンポジウムで基調講演していただいた小説家の真山仁氏の講演録を掲載しました。真山氏は、さまざまな事象を取材する際には、世界には多様な価値観があることを認識し、複数の視点を持つこと。さらに物事を俯瞰する「鳥の目」と現場に足を運んで感じたことを伝える「虫の目」を持つことの大切さを強調し、「知りたい人にちゃんと伝える」努力を促しました。一線の記者には必読の内容です。

■一番好きな言葉が「関税」というトランプ氏の登場で今年の世界経済は波乱含みです。帝京大学教授の軽部謙介氏にトランプ氏の「関税外交」で米国内のみならず、同盟国の日本にとっても影響は避けられない2025年の世界経済を展望していただきました。

■昨年の東京都知事選、衆院選、兵庫県知事選、さらに米大統領選ではSNS を駆使した選挙戦が展開されました。SNS では虚実ない交ぜの情報が駆け巡り、その是非が問われる一方、既存のメディアは法律の縛りもあって存在感を失い、「オールドメディアは死んだ」との声さえ聞こえてきます。共同通信の元社会部記者・美浦克教氏にSNS 選挙の功罪や既存メディアが果たすべき役割について解説していただきました。SNS と選挙報道を巡る動きについては、今後もメディア展望で取り上げる予定です。(一ノ瀬英喜)