2024.12.01
メディア展望
『メディア展望』12月号発行のお知らせ
編集長の一言二言(12月号)
■全世界が注目していた米大統領選はトランプ 前大統領が返り咲きを果たしました。大接戦と見られていましたが、終わってみればトランプ氏の圧勝で、米メディアの世論調査の信頼度が揺らぐ一方、メディアが支持候補を鮮明にすることの是非についても論議を呼びました。今回の大統領選では、新聞、テレビなど既存メディアの影響力の低下や、SNS の台頭に伴ってフェイクニュースの拡散などが大きな問題となりました。今月号のトップページでは、時事通信の田坪睦 国際局長に大統領選を巡るメディアの報道ぶりや問題点などを掘り下げていただきました。
■パワハラ問題などで失職した兵庫県の斎藤元彦前知事が再選された知事選でもネットメディアが遺憾なく影響力を発揮しました。ネットの言説を信じた有権者の動きが予想を覆す結果につながったとされています。新聞やテレビの報道よりも虚実ない交ぜのSNS情報を信じる有権者が増え、今回の知事選を巡って「既存のメ ディアは真実を伝えていない」「マスメディアの敗北」と指摘する向きさえあります。ジャー ナリストの小池新氏の「プレスウォッチング」では米大統領選の報道ぶりと併せ今後の選挙報道に及ぼすネットの影響力について、冷静かつ真剣に考える時期に来ていると総括しています。
■今月号には共同通信の久江雅彦特別編集委員の講演録を掲載しました。先の衆院選は「自民 党惨敗、立憲民主党躍進」という結果になりましたが、長期的視点に立てば「自民党は数では負けたが、必ずしも惨敗ではない」と総括。今後の政局を俯瞰(ふかん)すれば自民、公明両党に加え、国民民主党が加わった「3極体制」になるかが来年夏の参院選をにらんで注目されると強調しています。実際、年収「103万円の壁」を引き上げることで3党が合意し、現実の政治は久江氏の分析通り3極体制に向けた動きが加速しています。 (一ノ瀬英喜)