2025.02.01

メディア展望

『メディア展望』2月号発行のお知らせ

編集長の一言二言(2月号)

■トランプ大統領が矢継ぎ早に乱発した大統領令が早くも国内外に波紋を広げています。米国の調査会社・ユーラシア・グループが発表した「今年の10大リスク」のトップは「主導国不在のGゼロ世界の混迷」でした。その最大の要因が、「米国第一主義」を掲げて再登板したトランプ大統領であることは疑いありません。同グループは、トランプ氏が、米国が果たしてきた「世界の警察官」の役目を放棄し、西側民主主義国家の盟主の地位も捨て去り、指導力を発揮する意思がないことを鮮明にしたことで、先進7カ国(G7)が影響力を失う一方、各国も自国優先に傾き、主導国のない状況が「Gゼロ世界」と指摘。リーダーシップの空白によって世界秩序は崩壊しつつあり、「1930年代や冷戦初期に匹敵する世界史上でも独特の危険な時代に突入しつつある」と警鐘を鳴らしています。今年も激動の1年となりそうです。

■今月号にはトランプ大統領の再登板を受けて、昨年12月に「分断国家・米国とシン国際秩序」と題して開催したシンポジウムの概要を掲載しました。選挙戦を通じて鮮明になった米国の分断、右派勢力が台頭する欧州、ロシア・中国など専制国家の拡大主義、さらにはウクライナや中東情勢も加わり、国際情勢が混迷を深める中、メディアはどう報じていくべきか活発な議論が交わされました。ぜひご一読ください。

■時事通信外信部の出井亮太編集委員が「二つの北極」をテーマにした定例講演会の概要をまとめました。かつて「平和の海」と呼ばれた北極海は、今や中国、ロシア、米国など各国が豊富な海底資源や軍事面も含めてせめぎ合う「対立の海」へと変貌しています。講演では、現地ルポを交えて加熱する覇権争いの現状について解説していただきました。(一ノ瀬英喜)