2025.03.01
メディア展望
『メディア展望』3月号発行のお知らせ
編集長の一言二言(3月号)
■今月のトップページは、「メディア談話室」の拡大版として、共同通信の井芹浩文元論説委員長にタレントの中居正広氏の問題を巡るフジテレビの対応や10時間に及んだ記者会見が露呈した問題点について書き下ろしていただきました。フジテレビと芸能界の、一般常識では測り知れない関係が改めて浮き彫りになり、この問題はフジテレビに限らずテレビ局全体の問題と受け止める向きもあるようです。一方で、港浩一社長会見では、質問とは思えない自説を滔々(とうとう)と述べたり、感情的になって問い詰めたりする記者の姿が目を引きました。「アテンションエコノミー」と呼ばれるように視聴者の関心を引き付け、人々からの注目を経済的価値につなげる、つまりアクセス数を稼いで収入増を狙っているとしか思えない記者に対し、専門家からは厳しい批判の声も上がっています。記者には一定の矜持(きょうじ)が求められると同時に、改めて記者会見の在り方を考えさせられる記者会見でした。
■共同通信外信部の仲井大祐次長の「トランプ2.0のリスク」をテーマにした講演録では、政策の大転換を図るトランプ大統領の意図や狙い、日々の発言に振り回される国際社会の現状を詳述しています。在英ジャーナリストの小林恭子氏の海外情報(欧州)では、ウクライナ戦争の終結に向けた動きで蚊帳の外に置かれているウクライナや欧州各国の反応などを報告していただきました。ディールを得意とするトランプ氏がロシアのプーチン大統領とのトップ会談で停戦合意すれば、プーチン氏の意のままに踊らされる結果となり、国際法違反の侵略行為にお墨付きを与えかねません。大国間の2 国間交渉で物事を決めてしまえば、営々と築き上げてきた国際ルールや規範が失われ「弱肉強食」の世界に逆戻りする懸念も高まっています。 (一ノ瀬英喜)